私は「紙」の表面を丁寧になでるように、作品を作る。ここ何年か「紙」と対峙して来たが、さて「紙」とは何か?という問いについて最近よく考える。たくさんの繊維が寄り、絡み合ったものが「紙」となるのだ。そういう事だと私は「紙」を理解している。 私はその緊張感のある「紙」の表面を撫でる時、時には強引に絡み合った繊維を離すようにして、しかし決して離してしまわない丁寧さをもって、その一つひとつを確認するのである。そしてまた、「紙」を撫でることは同時に、「空気」を撫でるようでもある、と思う。柔らかな綿毛のように起き上がった繊維の毛先は、光(あるいは影)を取り込んでその存在感を強くする。 しかし一連の作業を通すと、私はそれらを「紙」と呼ぶことに躊躇する。ではなにかと問われると困ってしまうので、今のところはそのようなもの、と言うことにしておきたい。 「 」の中を探る試みを、行いたいと思う。 <作家コメント2009>