この展覧会はギャラリ−ヤマグチの企画のもとCASO space Bとギャラリ−ヤマグチの2会場で展示しています。CASO space Bでは80年代と90年代のスケールの大きな作品をギャラリ−ヤマグチでは今回の展覧会のために制作した新作を展示いたします。

 五十嵐彰雄は80年代より一貫してホワイトペインティングを発表しています。「無題−色面<相>」「無題−色面<量>」の表記に見られるように油彩を塗り重ねることへの問題を提議しています。70年代 には塗り重ねたものを、再度削り取ることによってペインティングの意味を−つまり負の行為もペインティングであること−模索していました。今回SpaceBに展示される80年代以降のホワイトペインティングは塗り重ねる行為によるペインティングでは作家として独自に再考し続けた軌跡を見る事ができます。その過程においては視覚的に語りかけてくる物の表面上の見え方の違いはあるものの彼の一貫したコンセプトが見られる。70年代の作品はその当時の美術界での傾向(?)でもあったコンセプシャルアートの類似は表層には見るが、これは一般的な、歴史的な見方によった判断としてのみの見識です。五十嵐個人の創造、もしくは実験する行為の中に一個人の思考(試行)の源をじっくりと見定めることは作家を理解する過程で重要なことです。70年代の彼の思考(試行)は明らかに80年代に始るホワイトペインティングに継続されています。それは詰まるところ、創造するものが完成に近づくための基準をいかに把握しているかの問題ではないでしょうか。その基準あるいは尺度をこの展覧会で感じていただければ幸いです。
 昨今、絵画の終焉が美術界で語られ、その風潮は蔓延しているかに見えます。その根拠と意味のない言葉を五十嵐の絵画は、絵画として成立するための忘れ去られた何物かを発見し、その言葉を現実的に払拭する展覧会となることでしょう。 それはひょっとして作品を見る行為のエネルギーか、注意深さか、集中力かによって決まるのかも知れません。          



ギャラリーヤマグチでの展示風景(CASO space Bより)




CASO space Bでの展示風景


CASO space Bでの展示風景

2003年個展